概論

よりよく生きるための哲学と方法論①私たちが抱える問題を理解する

当サイトをご覧いただきありがとうございます。

当サイトは、現代社会において「よりよく生ききたい」と思うすべての方に対して、哲学(考え方)と方法論をお伝えするサイトです。

ここでは、現代社会においてよりよく生きるとはどういうことか、何をすればいいのか、原理原則レベルの考え方をお伝えします。

このページでは、私たちが抱える心身の問題、悩みについて理解できるように問題とその背景について書いています。より詳しくは順次下層ページを追加していきます。

とても長いページですので、ぜひブックマークして繰り返し読んでいただければと思います。

1:現代社会の特徴

「生きづらい」と感じる人が多い時代といわれます。社会は便利になり物質的な欲望は満たしやすくなったにも関わらず、漠然とした不安や心身の不調を訴える人が今なおたくさんいます。むしろ、そういう不安や不調で悩まされる人は増えているのではないでしょうか。

この「生きづらさ」は、人間の本質に基づく側面と、資本主義社会という現代社会における環境による側面から影響を受けて出てくるものです。

人間はそもそも、自分の意思と関係なく突然誕生し、そしていつかは再び自分の意思と関係なく死んでしまう存在であり、人生は有限です。そして、自由意志を持つが故に無限に「やりたいこと」「やるべきこと」「悩み・問題」をつくり出す存在でもあり、有限な人生でできることは限られています。この意思の無限性と人生の有限性という矛盾が、人間が抱えるあらゆる悩みの根底にあります。人生が無限なら、やりたいことも悩みも、いつかはやり切り解決できるからです。

また、現代社会では、個々人は家族、会社、友人などあらゆる人間関係から独立し、個人としてあらゆることを自分で決断し、責任を取って生きていかなければならないという「個人」をベースにした社会です。

一方、社会は近代化の過程でより流動的になり、私たちの人生プランも社会の先行きも予測が非常に難しいものになりました。また、企業から要請される「能力」は年々知的にレベルの高いものになり、また個人はAIやロボットによる仕事の代替圧力にもさらされ、常に高い能力、知識を求められるようになっています。

このような時代背景から、私たち現代人は「個人」として強い負荷を感じながら、それを一人で孤独に背負いながら、生きていかなければならなくなっています。これは、前近代社会(たとえば古代社会)において、地位も仕事も、住む場所も人間関係もほぼ一生変化しなかった生活に比べれば、とてつもない変化です。

私たちは、近代化以降の数世代の短い期間の間に生活環境が大きく変わり、それゆえに厳しい変化や負荷にさらされて生きるようになっているのです。

2:不安、緊張、焦り、迷いの時代

このような時代背景から、現代の日本社会は《不安、緊張、焦り、迷いの時代》と表現できると考えます。

①不安

多くの現代人の心には漠然とした不安があります。その不安には「自分の人生はこれでいいんだろうか」「いつか時代の変化についていけなくなり失職するのではないか」「今の収入で老後は大丈夫だろうか」など人によってさまざまだと思いますが、その不安の多くが、現代の社会システムに影響されていることは間違いありません。

前近代社会のように、個々人が生まれた土地や家族、階級、職業に縛り付けられ「自由」のない社会であれば、現代人の感じるような「不安」は感じることはありませんでした。そもそも選択の余地がなく、人生でできることも限られ、未来は現在の延長でしかなかったからです。

しかし、資本主義が拡張する過程で、私たちが「自由」に活動できる領域が拡大しました。自由であるということは、何でも選べるということです。住む土地も、結婚・恋愛の相手も、職業も自由に選ぶことができますが、それを裏返せばすべては自己判断しなければならず、あらゆる選択の結果は自己責任だということです。

また、資本主義社会が拡張しあらゆる「人とモノ」「人とサービス」「人と人」などの関係が市場的になりました。つまり、あらゆるモノやサービスのやり取りがお金を介した取引になり、人間関係や仕事選び、恋愛・結婚すらも「これだけ投資するメリットがあるか」「自分にとって経済的価値があるか」に影響された判断をするようになりました。つまり、人間の人格にまで資本主義・市場主義が浸透するようになったのです。

これらの結果、私たちはあらゆる選択を経済的価値をもとに投資的に行うようになり、少しでも「コスパ」「タイパ」のいい行動をやろうと考え、ちょっと嫌な思いをしたら「損した」と考えるようになりました。人格面までもが現代の社会システムに影響されて変化してしまっているのです。

このように時代が変化した結果、私たちは「今のままでいい」「成長しなくてもいい」「何も買えなくてもいい」などとは思えず「もっといい人生を」「もっと成長を」「もっといろんな経験を」「もっと便利なモノを」と考えるようになりました。その結果、常に何かが足りない気がして、漠然とした不安を抱えるようになりました。

また、私たちがこのようにより多くの欲望を満たしたいと考えて消費活動を進めることで、企業はさらに多くの商品・サービスを開発して販売し資本主義が拡張します。その結果、社会の変化はより加速し未来を見通すことが難しくなり、私たちの人生は不安定になり仕事や人生の全般でより強い不安を感じるようになります。

このような不安は、外にばかり目を向けて自分を見ていないために起こるものです。自分自身を見つめて尊重し、また身近な人間関係に愛情を注いで大事にすることで、不安は解消していきます。何かがないから不安なのではなく、すでに持っているものに目を向けないために不安なのです。

②緊張

現代人は、常に緊張を抱えているという点でも特徴的です。意識して訓練しなければリラックスできなくなっており、これは異常事態といえます。どのような野生動物も、本能で闘争したりリラックスしたりできるのに、人間は自然にリラックスできなくなっているのです。

このように緊張が常態化している理由を端的にいえば「交感神経を興奮させる要素が多い」ということに尽きます。人間の身体は、自律神経によって自動コントロールされています。自律神経のおかげで、私たちは「よし今から胃腸を動かそう」とか「血圧を上げよう」などと考えなくても、勝手に内面がちょうどいい具合に調整され、複雑な身体のシステムが維持されているのです。

よく知られていることですが、自律神経には大きく2つのタイプがあり、一方が「闘争・逃走モード」といわれる交感神経で、一方がいわば「リラックス・休息モード」である副交感神経です。おおざっぱにいえば、仕事や運動など活動的なことをしているときは交感神経が興奮して、身体が活動しやすい状態に調整されます。しかし、交感神経が興奮している状態では、身体の回復が十分に行えないため、休息のために、夜間や睡眠中は副交感神経が働きます。

現代社会では、社会の競争主義、能力主義、都市化による人口の過密化、日々接する情報量の増大などによってストレスとなる要因が多く、常に交感神経が興奮する状態になりがちです。また、運動不足や睡眠の質の悪化などによっても自律神経が乱れ、交感神経の興奮=緊張しやすいです。

このような一般的理由に加えて、心を開いて深く関われる人間関係が減っていることも、日常的な緊張の要因になっていると思われます。日々接する人の多くがリラックスして関われる相手でなければ、やはり緊張が常態化します。

③焦り

現代人は、常に焦りを感じる特徴もあります。仕事ではより多くの成果、より多くの仕事をこなすことや資格の取得、スキルアップが求められたり、気を抜くと競合他社に抜かれるためできるだけ早く仕事をしないといけない、といった状況の人は多いでしょう。また、仕事外でもやることが多く時間に追われ、常に焦りを感じている人も多いようです。

このような状況に置かれているために「いつも何かに追われている気がする」「ゆっくり時間をかけて物事に取り組む気持ちになれない」「仕事外の時間も落ち着いていられない」「何か生産的なことをやってないと気が済まない」といった悩みを持つ人が多いです。

このように焦りを感じてしまうのは、人生に対する渇望感が原因であることもあります。「自分の人生はこれでいいのだろうか」と迷いがあったり「もっと何かがないと足りない気がする」という思いがあると、余計な行動を選択してやることを増やし、しかも焦りからは解法されないパターンになりがちです。

④迷い

前述のように、現代人は「自由」になった反面、あらゆることを自己判断で行わなければならないことから絶えず選択を強いられています。決断にはエネルギーを要するため、多すぎる選択肢は迷いを生みます。

買い物、キャリア、付き合う相手など、多くの選択肢の中でよりよいものを選ぼうと考えるのが普通です。よりよいものを選ぶためには、選ぶ基準や判断材料を勘案する必要があるため、より多くの情報量を脳で処理しなければならなくなります。そのため、多くの場面で脳がパンクし迷いとなります。

迷いが生じるのは、現代社会では「生きる指針」が明確ではないためでもあります。「人生とはこうあるべき」「人間はこう生きるべき」といった規範は、現代社会では解体されてしまいました。かつて生きる指針となった宗教・信仰的な規範や常識、道徳観といったものは、多くの現代人にとって「古臭い」「役に立たない」「時代に合わない」と思われているでしょう。

また、現代では生き方すらも自分で考えて決定することが「よい」という考え方が主流であるため、ここでも自由であるために個々人に求められることがよりレベルアップしている状況があるのです。よって「迷い」とは、多くの現代人にとって逃れられないものとなっています。

3:安心、リラックス、落ち着き、迷わない生き方を選ぶ

ここまで書いてきたように、現代人は社会的な影響から《不安、緊張、焦り、迷い》と共に生きています。

しかし、このような影響から絶対に逃れられないわけではありません。社会のシステム自体を個々人が変えることはできませんが、それらから影響を受けていることを自覚した上で、余計な考え方は手放し、生きづらさにつながる考え方は修正していけば、よりよく生きることができます。

当サイトでは具体的な「よりよく生きる」方法論をお伝えしますが、それらを実践して生き方を少しずつ変えていくことができれば《安心・リラックスし、落ち着き、迷わない生き方》ができるようになるでしょう。

その具体的な方法とは、いわゆる自己啓発や一般的なメンタルのケアとは異なります。現代知られている多くの方法は、能力主義的・競争主義的な現代社会でサバイバルするための能力・知識を身につける方法であったり、よりお金を稼いで「お金で問題を解決する」式の方法、自分を守るために他人を省みず自己中心的に行動することを促進する方法、小手先のテクニックしか伝えず根本的な問題解決にならない方法であったりします。

確かに、厳しい社会をサバイバルしていく方法も大事です。しかし、それ以前に考えるべきなのは「サバイバル」しなければならないような厳しい舞台を自分で選んでしまってはいないか、という視点です。

私たちは自分で選択し、自分の人生を作っていると思いがちですが、実際には多くの「社会の常識や『普通』」「広告によってつくられた価値観や流行」「こうであるべき、という規範意識」などによって影響を受けています。そして、人と違う生き方は選びにくく、人と違わないことや、できれば人より優位に立つことを目指して行動しがちです。その結果、多くの人が同じような舞台にのぼって競争することになり、競争が激化し、余計に疲弊してしまいます。

個々人が、自分に本当に必要なものを自覚し、本当の意味で自由な人生をつくることができれば、多くの人が一つの舞台に乗って戦うようなことにはならないはずです。競争が激しいのは、人と同じ舞台(マーケット)で戦おうとしたり、余計なモノ、カネ、ステータスなどを得ようとして、より多くの努力を自分に強いているためではないでしょうか。

人間のこと、社会のことを深く理解すれば、自分が背負ってしまっている無自覚の偏見、価値観、規範意識、常識、考え方などを相対化し、冷めた目で見られるようになります。その結果、余計な考え方を捨てて本当の意味での自分の人生を歩めるようになるのです。

端的にいえば、考え方や心の在り方について自分がなぜ今のような状態にあるのか理解した上で、自分の持つ世界(主観的世界)を整えることに集中することが重要です。外的な世界(客観的世界)を変えることは難しいですし、私たち人間は環境をありのまま認識して生きているわけではありません。外界を、ある意味で個性的に、自分勝手に描き、捉えて思い込みやこだわりを持って反映し、それをもとに思考や感情を持っています。

そのため、外界(身の回りの環境や他人、仕事など)を変えるよりも、自分の考え方や心の在り方(主観的世界)を第一に考え、整えることが第一なのです。そのための方法は、別の記事で詳しく解説していきますが、結論をいえば人間の思考や感情の本質的な特徴を理解した上で、マインドフルネスの習慣をつくることに尽きます。

また、それ以前の土台として身体を整えることも必要不可欠です。

4:現代人の身体の問題

前述のように、私たちは《不安、緊張、焦り、迷いの時代》を生きています。その影響は明らかに身体にもあらわれます。心の問題やライフスタイルの問題によって、私たちの身体のあり方はあまりにも自然な状態から離れ、それゆえに多くの乱れ、不調、病を抱えるようになりました。

現代人の抱える多くの不調は、文明が発展した代償でもあり「文明病」といえるものです。

4-1:身体が整うことで心の健康もベースアップする

「よりよく生きる」ためには考え方や心の在り方が大事です。しかし、その考え方や心の在り方は、身体の健康の度合いに大きく影響を受けます。

普通にイメージすれば分かることですが、病気の時はネガティブなことを考えたり、頭を働かせて難しい問題解決をしたりしにくくなります。全身のエネルギーを身体を回復するために使っており、頭や心を使う余裕がなくなるためです。

そして重要なのは、現代人のほとんどの人の身体のレベルは、病気じゃなくともそれに近いような生命力が落ちた状態にあるといえます。それは、前述のように現代人の生活が自然な状態からあまりにもかけ離れたものになってしまったためです。

逆にいえば、生活全般を整え、運動量を増やし、姿勢や身体の使い方を変え、内臓や血流、リンパの循環を高める習慣をつくれば、身体の健康度は大きく向上し、それに伴って頭や心の在り方もベースアップします。それだけで心の問題、深い悩みが解決してしまうことすらあります。

そのため、よりよく生きるためにも、心の健康を維持、向上させるためにも、まず身体からアプローチすることが必要なのです。

たとえば、本当のリラックスを獲得するためには、考え方や心の在り方を変えるだけでは足りません。重力に対して身体の軸を立て、無駄な力を使わずに立てるようになって初めて緊張が解け、本当の意味でのリラックスが獲得できます。この身体のベースの上で、さらに自分の生活や心を縛る考え方を自覚し、解きほぐしていくことが必要です。

このように《安心・リラックスし、落ち着き、迷わない生き方》《よりよく生きること》を実践するには、まずは身体から整えることが必要不可欠なのです。

4-2:人間はつくられる存在であり、身体の問題も生活によってつくられる

よりよく生きるために身体から整えること、そのためには生活全般から整えることが大事です。そのため、コスパやタイパを重視した小手先のテクニックでは身体は変わりません。たとえば「1日10回でOK」「1分だけで激変する」といったエクササイズは意味がありません。一時的に血流が改善して「よくなった」気にはなっても、根本が解決されていないため、再び心身の不調、生命力の低下を招きます。

逆に、行住坐臥のすべてで身体を整えること、生活のすべてで姿勢、動き、感覚を変えていくことが大事です。なぜなら、人間は動物と違って生活を自分で創り出すと同時に、生活によって創られる存在だからです。ここでの「生活」とは「どのような姿勢で」「どのような動き(歩き方、座り方、走り方、バッグの持ち方、キーボードの打ち方、包丁での切り方など)で」「どのような心の持ち方、意識の仕方で」「どのように外の世界を感覚して」行動しているか、ということです。

昔の修行僧らは、このようなあらゆる姿勢や動き、日常生活に意識を込めて、行住坐臥を修行としました。私たちは逆に、あらゆることを便利に、機械に頼り、意識せずに済むように生活を変えてしまっています。たとえば「正しい姿勢で座る」ことなど、座り方を学んで意識することがすべてであるにも関わらず、さまざまな健康グッズに頼ることが当たり前になっています。このように、日常動作を「考えず、意識せず、感じずに済む」ようにしているために、あらゆる身体の不調、問題がつくりだされていることを知ってください。

私たちがやらなければならないのは、より便利な健康グッズや、より効果のあるエクササイズを探すことではなく、ただ日常の動作を一つ一つ丁寧に意識し、正しく行うように気をつけることなのです。それを面倒くさい、やりたくないと避ける限り、あらゆる不調から逃れることはできません。

4-3:文明と身体のギャップによって問題が起こる

私たちがただ、普通に生活しているだけで生命力を低下させ、不調を持ってしまうのは、文明的な生活と進化で獲得してきた身体の機能にギャップがあるためです。

私たちの身体は、生命の長い歴史の過程で「動き続けることで生き延びる」ように進化してきました。文字通り、私たちは「動物」なのです。特に脊椎動物は激しい運動をする身体を獲得し、さらにその動きを多様化させる方向に進化してきました。魚類は水中を激しく動きますが、多くの魚類の運動は背骨を波状に動かすだけの運動です。それに対し、陸上に生息するようになった哺乳類は、背骨を上下、左右、回旋させつつ四肢にエネルギーを伝達し、複雑な運動ができるようになりました。さらに私たちの祖先である遠類になると、手足を分離させて使ったり、モノを使った運動が可能になりました。そして私たち人類は、本能と激しい運動能力を捨てるかわりに、あらゆる環境に適応して動ける、極めて複雑な、多様な、器用な動きができる身体を獲得しました。

この複雑、多様、器用な動きができる身体が、人間の持つ身体機能の本質です。そのため、端的にいえば、私たちは原始時代のように全身を伸び伸びと使ったり、毎日動き回ったり、走る、跳ぶ、登る、投げるといった多様な動きをまんべんなく行っていれば、身体が不調になることはほとんどないといえます。

しかし私たちの生活は、これとはまったく逆になっています。毎日の運動量は少なくなり、一日の大半を座りっぱなしで生活する人も多いです。また、近距離の画面を見続けて目を酷使しています。運動の質も変わり、走ったりジムにいったりしている人も、結局やってるのは繰り返しの人工的な、決まったパターンの運動であり、私たちが自然の中で獲得した機能のほんの一部しかやらないのです。

そのため、私たちの身体は十分の機能が使われず、使われない機能は衰えるため、運動能力だけでなく心肺機能、神経の機能、内臓・血管も含めて衰え、生命力全体の減衰へと繋がっていくのです。

つまり、私たちは文明的な生活で便利さ、豊かさを享受できるようになった反面、自然の生活からあまりに離れてしまったために生命力を低下させる生活をしてしまっているのです。

4-4:現代人の身体の問題

前述のように、私たちは文明的な生活を続けている結果、生命力を低下させているのですが、その具体的な中身は下記のようなものです。

①運動量が少なく、筋肉・関節が固まりやすい

ほとんどの人の運動量は少なく、またその質も単調なものになっているのが現代人の特徴です。

ある説によると、人間は数十万年の間、毎日平均13キロほど歩いていたそうです。また、原始時代の女性の骨密度を測ったところ、現代のボート競技のオリンピック選手の女性以上の骨密度があったそうです。原始時代の人は、現代のオリンピック選手レベルで身体に負荷をかけて生活していた可能性があるのです。私たち現代人の基準で考えるとそれほどの運動量は異常に見えますが、私たちの祖先から見れば、私たちの生活の方が異常に見えることでしょう。

このように運動の量も質も低すぎる生活をしている私たちは、筋肉量が少なく、関節が固まり、骨は脆くなっています。そのため、ちょっとした動きで怪我をする、関節を傷める、骨が折れやすい、筋が痛くなる、といったことに繋がります。また、身体機能が若いうちから衰えているのですから、身体の老化も早く、40代、50代で五十肩などの肩関節の可動域制限や痛みが起こったり、若くても慢性腰痛に悩まされたり、肩や首の筋肉の血流が悪化し肩こりや頭痛、疲労感で悩まされることになります。

すべては動かないことによる問題であり、前述のような行住坐臥の姿勢や動作に気を付けることで改善が可能です。

②姿勢の歪みによる不調

現代人の身体の不調の多くは、姿勢の歪みによっても起こります。

正しい姿勢とは、重力に対して最も適正なポジションで全身のバランスが取れている状態であり、無駄な筋力を使わずに維持できる姿勢です。そのため、立ち方、座り方などのあらゆる場面で、正しい姿勢を自然にとることができれば疲労が最小限になりますし、どこかが痛くなったり、こったりすることもほとんどありません。

しかし、現代人の多くは正しい姿勢を取ることが難しくなっています。その理由の1つは、同じ姿勢を長時間取り続けるためです。

多くのデスクワーカーは座る時間が長すぎます。また、肉体労働者であっても立ち姿勢など、特定の姿勢を長時間維持する必要がある人がほとんどだと思います。それは、現代の仕事の形態は、効率的な生産活動が可能なように機械・生産システム、組織に合わせて標準化・規格化されているためです。簡単にいえば、多くの人は企業の巨大な生産システムの部品の一つであるため、部品として決まった姿勢や動きを繰り返すことが強いられているということです。この例外にあたるのは自営業者や経営者ですが、それらの人も現代の経済システム全体とまったく関係なく過ごせるわけではありませんので、結局同じような生活になり、長時間同じ姿勢を続けることになります。

また、身体をないがしろにした生活を続けてきた結果、身体機能が衰えて正しい姿勢を取れなくなっているのも理由の1つです。

人間の身体にはたくさんのセンサーにあたる器官がありますが、このセンサーは使わなければ衰えます。そのため、どこに体重を乗せ、どういう角度にし、どこに力を入れれば正しい姿勢が維持できるのか、といったことを意識しにくくなっていきます。つまり身体コントロールが下手になるのです。

また、姿勢を維持するインナーマッスル(身体の奥にある筋肉)も衰えています。インナーマッスルはしっかりと日常生活で使っていれば、アウターマッスル(身体の表面にある筋肉)のように早く衰えることはなく、年をとっても維持されることが分かっています。しかし、これもやはり日常的に使っていなければ早く衰えてしまうため、正しい姿勢を維持することが難しくなっていきます。

このような人は、たとえ正しい姿勢の取り方を教えてもらっても「この姿勢はきついです」といって、続けることができません。

正しい姿勢がとれなければ、やはりあらゆる身体の不調を引き起こします。また、呼吸の質も悪化するため身体の内面から生命力が低下します。したがって、正しい姿勢を知ること、正しい姿勢をとるための運動法を行うことが重要です。

③自律神経が乱れやすい

すでに知られているように、現代人は自律神経が乱れやすいのも特徴です。

自律神経は「闘争・逃走モード」の交感神経「リラックス・回復モード」の副交感神経の波によって、全身を調整して機能させる役割を持っています。一方が興奮すると、基本的には他方が鎮静します。たとえば、活発に身体を動かしたり活動すべき場面では交感神経が興奮して、心拍数が上がり、血圧が高まり、胃腸の働きは抑えられる、といった変化が起こります。

しかし、人間は活動するだけでは生きていけません。生きているだけで細胞が死滅し身体は劣化していくため、常に代謝によって新たな細胞をつくりだすこと、つまり回復が必要なのです。また、交感神経が興奮している状態では消化吸収が十分にできないなど、内臓の働きにも影響します。そのため、副交感神経が優位になって身体をしっかりリラックスさせ回復過程に置くことが何より大事なのです。逆に副交感神経がずっと優位だと、活動する気が起きなかったり、身体がおもだるい、眠い、などの症状にも悩まされます。

そのため、人間が「よりよく生きる」ためには、自律神経のバランスがちょうどよく整っていることが大事なのです。

現代人の自律神経が乱れやすいのは、やはり文明的な生活が原因です。端的にいえば、ストレスになる要因(ストレッサー=刺激)が生活にあまりにも多いのです。都市部で生活している人は、人ごみや街中の喧騒、視界に入る広告などの情報量の多さなどがストレッサーになります。また、デジタル環境(スマホ・PC、ネット、SNS、ゲーム)も情報量が多すぎ、人間の注意力を奪うためストレッサーです。仕事や学校での競争主義、能力主義にさらされることもストレッサーになります。

私たちがさらされるストレッサーの多さは、原始の生活を想像すると分かりやすいです(基本的には、私たちの身体や脳の機能は原始の生活から変わっていないため、原始の生活と私たちの生活を比較し、どのような違いがあるのか考えることが、現代の生活の問題点を見つける近道になります)。

原始の生活にもストレッサーはありましたが、それは外敵(動物や他の部族)や災害、飢餓などに限られていました。あくまで、ストレスを感じるのは例外的な危機的な状況であり、それ以外の状況では安静に過ごすことができたはずです。そのため、獲物を追ったり、外敵と戦ったりする場面では交感神経を興奮させるものの、それ以外の場面では心身を安め、副交感神経を優位にして十分な回復が可能でした。

一方、私たちの生活は、生命の危機を感じるほどの脅威はなくなりましたが、ストレッサーには四六時中さらされるようになりました。

そうなった理由の1つは、競争主義、能力主義的な仕事や学校における生活です。常に成果を上げること、成長することが求められる社会では、絶えずストレッサーにさらされることになります。

また、現代の資本主義社会が、あまりにも広告依存になっていることも理由の1つです。少しでも多くのモノ・サービスを消費者に買わせるために、あらゆる場面で私たちの耳目は広告にさらされています。現代の広告は心理学の研究にもとづき、人間が反射的に見たり、タップ・クリックしたりしやすい設計になっています。そのため、スマホを見ても、街中を歩いても、絶えず広告によって脳に情報を叩きこまれることになり、これがストレッサーになります。

このような多くのストレッサーにさらされることで、私たちの自律神経は交感神経優位が続きやすくなっています。逆に運動量は減っていることから、副交感神経を十分に働かせて身体を回復させる要因が減っています。そのため、交感神経優位が続いて不眠、疲労、免疫力低下などあらゆる不調が引き起こされているのです。

もちろん、私たちは原始的な生活に戻るわけにはいきません。しかし、原始の生活で行われていたことを学び、うまく生活に取り入れて生活を改善することは可能です。

④呼吸が浅い

ここまで解説してきた、運動量や姿勢、自律神経の話と関連して、呼吸が浅くなっているのも現代人の特徴です。

そもそも地球の生命体は、地球と相互浸透することで生命活動を維持するように進化してきました。その1つが食事であり、もう1つが呼吸です。つまり、食事と呼吸によって地球環境の一部を摂取し、また排泄や死滅によってふたたび地球環境に還る、ということを繰り返しているのが生命の歴史です。人間を含むあらゆる生命体は地球の一部であり、常に食事と呼吸によって地球と関係を持っていなければならないのです。

そのため、食事と呼吸の質が悪くなれば生命力が低下しあらゆる不調を招きます。

食事の重要性はいうまでもなく、すでに多くの健康情報で指摘されていることです。一方で、呼吸の重要性を指摘する情報も増えてきたものの、食事に比べればまだまだ浸透していないのが現実です。呼吸のことを学び、毎日気を付けているという人は本当に少ないと思われます。

それは、呼吸は「何となく」でもできている気になってしまうためです。確かに呼吸を意識しなくても死ぬことはありません。しかし長い時間をかけて生命力を低下させ、少しずつ不調を持ちやすい、疲れやすい、活力がない身体に変化させてしまいます。

少し前の時代まで、多くの人は普通に質の高い呼吸を維持できていたのだと思われます。それは普通に生活や仕事をする中で肉体を使う場面が多く、心肺機能をしっかり使っていたためです。しかし、私たちの現代的な生活はすでに相当なレベルで身体を使わなくて済むようになっています。そのため、呼吸が浅くなっているのです。デスクワークなどで胸、背中を固めるようにする姿勢を続けているのも、呼吸が浅くなる原因です。

呼吸が浅い状態が続きしそれが常態化すると、酸欠や慢性疲労を引き起こします。また、横隔膜や呼吸に関連する肋骨や胸、背中の筋肉がうまく働かず、それが首や肩回りの筋肉のこりや痛み、疲労感になっていきます。

食事の質が悪ければ不健康になるのと同じように、呼吸の質が悪ければ不健康になるのです。

呼吸の質を向上させるには、呼吸の仕方を理解し実践するのみです。誰かが代わりに呼吸してくれることはありませんし、何らかの健康グッズで呼吸が改善できることもありません。ただ日々の呼吸の仕方を変えるのみなのです。

⑤目の使い過ぎ

いうまでもなく現代人は目の使い過ぎです。TVが登場し、PCが登場し、そしてスマホが登場し、さらにスマホで利用できるコンテンツ(SNS、Youtubeその他)が充実してきた歴史の中で一番犠牲になったのは目です。

目を使いすぎていること自体は説明の必要はないでしょう。知っておくべきなのは目の使い過ぎによる影響です。目を使いすぎると視力の低下、目の疲労に繋がるだけでなく、顔や首周りの筋肉を固めます。その結果頭痛や首こり、肩こりの原因になります。このような不調は、マッサージなどでもなかなか改善できません。それよりも、目のセルフケアやトレーニングを行って目や目に関連する筋肉をゆるめ、血行を改善することが大事です。

目の使い方が原因となって、姿勢が歪むことも多いです。目の使い方によっては首が適正なポジションからずれ、首の骨が歪むことで脳への酸素供給も悪化し頭痛の原因になることもあります。

頭痛、目の疲れ、首の不調などで悩む人は、目の使い方を変えるトレーニングを行うことが大事です。

⑥体幹・インナーマッスルの機能の低下

現代人は、体幹・インナーマッスルの機能が低下しているのも特徴です。

ここまで繰り返し述べてきたように、現代人は運動の量が少なく質も悪いため、体幹の柔軟性が失われ、インナーマッスルのスイッチが入りにくくなっています。インナーマッスルの多くは、関節を適正な位置で保って安定させる役割を持っているため、インナーマッスルの機能が低下すると、多くの関節を傷める原因になります。

機能が低下しているインナーマッスルの代表格が腸腰筋です。腸腰筋とは、みぞおちの奥あたりの背骨から股関節まで伸び、上半身と下半身をつなぐ大きなインナーマッスルです。主に股関節を曲げる(つまり、立った状態で膝を上げる動き)で使われる筋肉ですが、体幹の安定や呼吸とも関わっている重要な筋肉です。

腸腰筋の機能が低下すると、正しい姿勢が維持できなくなる、股関節の痛みや不調、股関節から関連して膝や足首の不調、歩き姿勢の悪化、歩きでの疲れやすさなど多くの問題が出てきます。スポーツをやっていればパフォーマンスが低下します。それほど重要な筋肉なのです。

また、現代人は体幹をしっかり使うこともなくなっています。身体をダイナミックに使う動きでは、体幹主導で動かざるを得ません。体幹を使うことで大きなエネルギーを生み出したり、全身を連動させて複雑な動きができるようになります。しかし、現代人が日常で行う運動は、そのようなダイナミックさが求められません。脚は平たんな道を歩くだけ、手はPCのタイピングや家事で使うだけ、という人がほとんどではないでしょうか。その結果、手足を体幹から分離させて動かし、体幹そのものは大きく使われません。

体幹を使わないと、体幹の機能が衰え血流は悪化し筋肉は固くなっていきます。その結果、ちょっとした動きで痛める、慢性腰痛になる、肩こりが慢性化する、疲労が抜けない、など多くの不調につながります。さらに、体幹・インナーマッスルの機能が衰えると、老化によってあらゆる不調に見舞われるようになります。

そのため、できるだけ早いうちから体幹・インナーマッスルを使えるような運動を日常化することが重要なのです。

⑦血の巡りを中心とした循環が低下

現代人は運動量が少なく、一日の中で心拍数が低い状態になっている時間が非常に長いです。そもそも、心拍数が上がるような時間がほとんどない場合もあるでしょう。そのため、血の巡りを中心とした循環が低下し、生命力の低下に繋がっています。

4-5:身体を整えてよりよく生きるためには考え方を変える

ここまで解説してきたように、よりよく生きるには考え方や心の在り方だけでなく、身体から整えることが大事です。身体を整えることがすべてではありませんが、フィジカルな方法の有効性が高いことは間違いありません。人間は「動物」であるため、身体にアプローチしなければ頭も心も変化が少ないか、変化しても一時的な改善にとどまるのです。

ただし、身体から整える方法を実践する上でも注意点があります。

それは、現代の多くの身体にアプローチするメソッドが、偏った現代的な価値観によって提供されているために、多くの人が「根本から心身がよくなることに繋がっていない」のです。現代では、さまざまな筋トレ、セルフケア、ヨガ、ピラティスなどのエクササイズがあり、誰でも気軽に始められるようになっています。無料でもYoutubeやSNSでエクササイズ動画がいくらでも見られます。それらの方法が無意味であるわけではありません。

そうではなく、私たちの考え方、取り組み方が変わらないと、どのような「いいメソッド」も有効活用できないということです。

私たちは、自分の力で自分をよくすることができなければなりません。

そうしなければ、あらゆる健康産業に依存する生活から抜け出せません。一部の健康産業(たとえば健康食品、健康グッズ、整体など)では、売上を安定させるために顧客を企業のサービスに依存させることもノウハウ化されています。このようなビジネスは、健康のための商品・サービスを提供しているようで、実は顧客の「自分で自分をよくする力」を奪い、結果的に生命力を高めることに貢献していません。

世の中には、一見「自分のためになる」ようで、長い目で見ると「自分で自分をよくする力」や生命力を奪う商品・サービスもたくさん存在します。そのようなものに貴重なお金や時間を奪われないためにも、自分で自分の身体をよりよくすること、自分の身体との付き合い方をしっかり理解しておくことが重要なのです。

これから具体的なポイントを説明します。

①対処療法では変わらない

まず、対処療法では心身の不調は根本的にはよくならないことを知っておきましょう。

たとえば、肩こりや頭痛で悩まされて整体やマッサージを利用する人は多いと思います。その場で施術だけでなく、姿勢や日常生活のアドバイスをしっかり受け、それを実践するなら問題ありません。しかし「しんどくなるたびに通いよくなったらアドバイスも忘れてしまう」といった利用の仕方をしていれば、対処療法的であり心身の不調は根本改善しません。

繰り返しになりますが、私たちの身体も、考え方や心の在り方も、毎日の生活の中でつくられるものです。日々をどのように過ごしているかが、如実に心身に反映されるのです。よりよく生きるためには、日々の身体の使い方から変えていくことが大事なのです。

②身体をモノ化し、自己疎外する考え方を自覚すること

現代では、身体を他のモノや道具、機械と同じように捉える考え方が浸透しています。

病気になってから健康を考える、病気やケガをしたら病院で治してもらうが、それ以外の場面で身体のことをほとんど意識しない、という人も多いです。また、日々の身体の状態を体重計やヘルスケアウォッチの計測による数値に頼り、自分の感覚で身体を感じ取る力を磨きません。

私たち現代人は「私」という意識を頭や心のものと考え、身体も「私」であるという意識が薄れています。難しくいえば身体を自己疎外しているということです。しかし、実際には身体も「私」です。脳のようにおしゃべりではないため現代の生活では存在感が薄れがちですが、脳と同じくらい重要な「私」の構成要素です。

「私」を脳中心に捉えてしまっている現代人の傾向は、幸福の感じ方からも分かります。たとえば、とてもおいしい食事をしたときや、欲しかったものを手に入れたときに「幸せ」だと感じる人は多いでしょう。これは、脳が作り出した欲望を満たしたために得られる快感を「幸せ」だととらえているということです。

身体の幸福は、もっと落ち着いた感じにくいものです。肉体を使って働いた後の爽快感や、質のいい睡眠がとれた後の活力、瞑想によって深い落ち着きを感じることなどは、身体中心の幸福です。このような幸福は深く、心身に健康をもたらすものですが、「おいしい食事」「欲しかったものが手に入った」などの行為のように脳が強烈な快感を得ることはありません。そのため、つい私たちは脳の快感を「幸福」だと思って追求しがちです。

そのため、身体の扱いをないがしろにし、身体の状態は悪くなってから対応するような雑な行動を取る人が多いのです。

前述のように、身体は頭や心と同じレベルで「私」を構成する大事な要素であり、一方で脳と違って自己主張が少ないものです。しかし、頭や心の健康も身体によって大きく影響されるものであり、身体をないがしろにした生活では「よりよく生きる」ことなど絶対にできません。

そのため、まずは現代的な生活では、身体をモノ化し自己疎外し、ないがしろにしてしまっていることを自覚した上で「身体にとっての幸福」を中心にした生活を考えることが大事なのです。

③生活の問題を自覚し、全般的に変えること

ここまで繰り返し述べてきたように、私たちは生活全体が自然な状態から離れているために、その生活によって心身の状態が歪められています。これが、私たちの心身の不調・問題の根本原因といえます。

この問題を解決するためには、生活全般を見直して自分の心身をよりよくするものに変えていくしかありません。健康グッズや食品も、どれだけ素晴らしいエクササイズも、生活の一部で取り入れるだけではあまり意味がありません。一日の大半は、エクササイズや健康グッズを実践してない時間です。その生活に歪みがあれば、何度でも不調を繰り返します。そして、加齢とともに徐々に生命力が落ち、不調も悪化していきます。

この悪循環を断ち切るために、生命力を高められる生活への見直しが必要不可欠です。そのためには、ほとんどお金をかける必要もありません。必要なのは、自分自身の工夫、労力、努力です。これらは、多くの人が意識的に、無意識的に避けているものですが、労力を避けていてはよりよい人生は得られません。

具体的な方法論は、これから詳しく書いた記事を配信していきます。しかし、繰り返しになりますが、具体的な方法を実践する「だけ」では不十分です。「よりよく生きる」ためには、私たちの生活や社会にある問題を知り、私たちの心身への影響を知り、考え方や心の在り方の根本から変わるつもりで学ぶことが必要です。そして、考え方や心だけでなく、それらの土台といえる身体から整えていくことが必要不可欠なのです。

「よりよく生きる」人生を目指そう

「よりよく生きる」ことは大変だと思われたかもしれません。確かに生活や社会そのものが自然な状態から大きく離れている現代では「よりよく生きる」ことは難しくなっているのかもしれません。

しかし、私たちにとっての幸運は、資本主義の発展によって生産力が増大し、社会は確実に豊かになっているという事実です。また、私たち個々人を縛るものはどんどんなくなり、さまざまなことが自己選択できる自由も生まれながらにもっています。過去の人々のように自由の獲得のために権力者と戦う必要性はほとんどありません。これは、歴史を長い目でみると本当に幸運なことです。

だからこそ、私たちは「よりよく生きる」自由も持っているのです。

現代社会の問題は、経済社会のシステムが人間を本当の意味で豊かにするシステムになっていないこと、そして伝統が解体された結果「生きる指針」にあたるものがなくなってしまったことです。この問題はある意味で社会問題ですが、指摘されることがほとんどありません。しかし、この問題を解決することは、この問題を背負ってしまっている現代人の義務ともいえます。

「よりよく生きる」人生を自分の力でつくっていくことは直接に、上記の社会問題を解決することに繋がります。そのため、これをお読みの方はぜひとも「よりよく生きる」考え方と方法論を学び、よりよい人生への一歩を踏み出してください。

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