オンライン教室【suisui】を始めたのが2024年の7月ごろでした。
それから約6か月の間、オンライン教室の参加者や対面でのパーソナル指導、施術を通じていろいろなフィードバックをいただき、どういう内容がより効果があるか、どういうことをやっていくべきか、改めて整理することができました。
そこで、現状での最新版の【自然体】のつくり方の理論面をまとめます。
これから紹介するような理屈で、
・過敏さ、ストレスの受けやすさ
・過緊張、コリ、痛みが多い体質
・姿勢の歪み、動きの非効率さ
などを改善していくことができると考えています。
この記事は、すでにオンライン教室に参加して「より理論面から納得したい」という方や、これから参加しようか迷っていて「どういう理屈の内容なのか」知りたいという方に向けて書いています。
やや専門的な内容も含むため、参考程度に読んでみてください。
感覚刺激(触覚刺激)でボディマップを豊かにする
私のメソッドでは、各体操・ワークの中で感覚刺激を入れることを重視しています。
これは、下記のようなエリアに「さする」「叩く」といった刺激を入れて、身体感覚を高めてから運動に取り組むことです。また、床や壁に体を擦り付けて行うようなワークも、同様の目的で行っています。
このステップには、感覚神経(皮膚受容器)を活性化し、体の特定部分への意識を高めるという目的があります。
簡単にいえば、脳が「ここまでが私の体」とより高い解像度で捉えられるようになります。今の状態が「とても古いテレビの映像」の解像度だとすると、感覚刺激をうまく入れることで「ハイビジョン」になるというイメージです。
その結果、脳が身体の緊張度や姿勢・運動を自動調整する働きが高まりやすいです。この働きだけで体の過緊張・コリや痛み(首痛、腰痛など)がなくなることもあります。
より詳しくは、下記のようなメカニズムをベースにしています。
■皮膚受容器の刺激
皮膚にはメルケル細胞(圧覚)、ルフィニ終末(皮膚の伸張感覚)、マイスナー小体(触覚)、自由神経終末(痛覚・温度感覚)など、様々な受容器が存在し、外部刺激に反応します。これらを刺激することで、対象部位の感覚入力が増大し、脳の体性感覚野での「マッピング」が明確になります。
■固有受容感覚の活性化
感覚神経は皮膚だけでなく、筋肉や関節の固有受容器(筋紡錘やゴルジ腱器官)とも連携し、運動制御をサポートします。皮膚刺激が筋肉や骨格への意識を高め、より精度の高い動作が可能になります。
つまり感覚刺激のステップでは、皮膚刺激によって体性感覚を高め、動作の意識と精度を向上させることができます。
この他にもビジョントレーニング(目の体操)を行って、視覚の感覚刺激を入れるワークもあります。
「骨格コントロール」で体を整える
suisuiのメソッドの多くは、たとえば「股関節で骨盤をコントロール」「肩甲骨を背骨や肋骨から独立させてコントロール」「背骨を1本1本動かす」といった運動です。これを【骨格コントロール】と呼んでいます。
このワークでは「各部位をそれぞれらしく感じながら動かす」ことで、身体感覚をより高めていきます。このワークで見込めるのが下記のような効果です。
このワークを続けることで、
・体の実在感(ここにいる、という感覚)が増す
・副交感神経への刺激になり、リラックスできる(自律神経の働きが整う)
・姿勢が自然に改善される
といった効果が見込めます。
より詳しいメカニズムは下記の通りです。
内受容感覚の向上
内受容感覚とは、筋肉や関節、腱、内臓の状態や動きを感じ取る能力です。骨格コントロール(分節運動)を行うことで、体の各部分に対する繊細な感覚や自己認識が高まります。
骨盤、背骨、肩甲骨を個別に動かすことで、それぞれの部位の受容器(筋紡錘やゴルジ腱器官≒センサーのようなもの)が刺激されます。これにより、どの筋肉や関節がどのように動いているのかを脳が認識しやすくなり、体内部の感覚が鋭敏になります。
その結果、下記のような効果が見込めます。
- 姿勢やバランスの意識が高まる。
- 運動の精度や効率が向上する(力みが減る、無駄な動きがなくなる)。
- 不調や違和感を早期に感じ取れるようになる。
運動連鎖の最適化
骨格コントロール(分節運動)や「力の流れ」のステップのワークを行うことで、体の各部位が独立して動けるようになり、運動連鎖(動きの流れ)がスムーズになります。
運動連鎖とは、骨格や筋肉が連動して動く際に、適切な順序や力の伝達が行われることです。たとえば、手のひらを内旋(内にねじる)すると、肘、肩も内旋し、肩甲骨が外に開き、背中は丸まりやすくなります。このような連鎖をスムーズに行えると、楽で効率的な姿勢、動きができるようになります。
これによって下記のような効果が見込めます。
- 無駄な力みや代償動作(他の部位が過剰に動くこと)を防ぐ。
- スポーツや武道などで、しなやかで力強い動きが可能になる。
姿勢や動きの改善
骨盤や背骨、肩甲骨などの個別の動きが洗練されると、自然な姿勢を保ちやすくなります。
たとえば、骨盤は前傾・後傾の動きがスムーズになることで、腰痛や股関節の負担が軽減されやすくなります。背骨は胸椎や腰椎の動きが良くなり、猫背や反り腰の改善につながりますし、肩甲骨は、肩の可動域が広がり、肩こりや肩の不調が改善されやすいです。
また、自分の姿勢や動きのアンバランスを繊細に感じ取れるようになることで、無意識のうちに正しい姿勢や動作に修正できるようになります。
副交感神経の活性化
自律神経に対しても、下記のように影響が与えられます。簡単にいえば、リラックス・回復モードに入りやすくなるということです。
内受容感覚の刺激による影響
骨格コントロール(分節運動)などのワークをゆっくりと意識的に行うと、体の内受容感覚が高まり、脳の中で運動に関する情報が細かく処理されます。内受容感覚が刺激されることで、脳の「島皮質」や「前頭前野」が活性化します。
島皮質は、自分の体内状態をモニタリングする部位であり、副交感神経(心身をリラックスさせる働きを持つ)と密接に関わっています。これにより、脳が体の緊張を認識し、それを緩和するように作用します。副交感神経が優位になることで、心拍数が下がり、リラックス状態が促されます。
呼吸法の影響
私のワークでは呼吸法を行うことも多いですが、意識的な深い呼吸は「副交感神経(心身をリラックスさせる働きを持つ)」を優位にし、心身のリラックスを促します。
深呼吸やゆっくりした動作は副交感神経系に信号を送り、心拍数の低下、血圧の安定、筋肉の緊張緩和といった反応が引き起こされます。
筋肉の緊張緩和とフィードバックループ
骨格コントロール(分節運動)などのワークを行うことで、筋紡錘や腱器官(ゴルジ腱器官)が刺激され、筋肉の過剰な緊張が抑制されます。筋肉がリラックスすることで、脳へ「体が安全な状態だ」というフィードバックが送られ、交感神経の過剰な働きが鎮まり、副交感神経が優位になります。
筋肉や関節のリラックスが、自律神経の中枢である視床下部にフィードバックされると、ストレス反応が抑制されることが分かっています。
「力の流れ」で体に軸をつくる
suisuiの中では【地面→足裏→骨盤→背骨→頭や腕】という力の流れを明確につくっていくことを目的にしたワークも行います。
このステップについて簡単には下記の記事にも書いています。
参考▶【楽に体を使うポイント】2つの外力を使って心身をリラックスさせよう
このステップで見込める効果は、簡単にいえば姿勢や運動におけるエネルギーの効率を最大化し、楽な姿勢や無駄のない動き、力強さを生み出せるということです。
人間が地球で過ごしている限り、必ず重力の影響を受けます。
重力によって地球に押し付けられ続けているため、地面からは常に「地面反力(反発・浮く力)」を得ているのが私たちの体です。そのため、あらゆる姿勢や運動は「地面反力」を基点として足→骨盤→背骨→肩甲骨→手や頭など体全体に伝達されます。
この運動連鎖が効率的に機能すると、全身の力が調和して使われ、最小限の力で最大のパフォーマンスが発揮できます。
具体的には、まず重力との調和が可能になります。力の流れを意識することで、体の重心と重力が適切に調整され、余分な筋力を使わずに姿勢や動作を維持できます。
また、深層筋の活性化の効果もあります。「力の流れの経路」をクリアに体につくって体全体を使うことで、表層筋だけでなく、コア(体幹)の深層筋(横隔膜、多裂筋、腹横筋など)が働き、動作が安定します。
これらの結果、楽で疲れにくく、余計な緊張のない姿勢や動きが可能になるのです。
体幹トレーニングを行う上での注意点
このような体幹トレーニングの効果は「一般的なエクササイズをただ見た通りにやるだけ」では、あまり得られません。
しっかりとポイントを押さえ順序立てて行わなければ、かえって自分の体の使い方の癖、姿勢の癖を強めてしまう場合もあります。実際、お会いするお客様の中にも「運動して体を傷めた」「よけい緊張するようになった」という方が多くいらっしゃいます。
運動経験が豊富で、センスのある方なら何をやってもいい効果を出せるとは思います。しかし、そうではないという自覚がある方は、しっかり教わって学び、正しいやり方を身につけることが大事なのです。
また、体を変えるには時間がかかります。これまでの数年、数十年で身につけた体の癖や内面の働きの状態は、一朝一夕で変わることはありません。地道に継続することが必要です。
こういうと「すぐに効果が出ないなら続けにくい」と思う方もいるかもしれません。しかし、体の使い方、整え方は一生ものの財産になります。今諦めれば衰退しかありませんが、今から少しずつ続ければ、5年後、10年後の心身の状態は大きく変わっていくはずです。
体とは自分自身です。自分でケアせずないがしろにすれば、そのしっぺ返しをくらうのは未来の自分です。
体と向き合い、体をいたわること、整えることを生活の一部に組み込むことを強くおすすめします。
suisuiでは、各ワークについて丁寧に解説した動画を週に1本配信しています。興味がある方はお気軽にLINEからお問い合わせください。